森奥穂高岳登山 【前篇】

Posted by countach.tv - 10月 21st, 2011

昨年同様、新宿を23時に出発した夜行バスは長野県上高地へと向かった。
車中一泊だ。深夜バスのあの窮屈でザワザワとした雰囲気はどうも馴染めない。
浅い眠りとなんどかの休憩を経て、朝の6時に上高地バスセンターに到着。
すでに各方面へ登る登山客で賑わっている。

前日の予想が見事に当たってしまった。登りはじめから雨が降るグレーな天気。
これから10時間も登る登山部に冷たい雨になるのは間違いない。
シトシトと降る雨の中、各自準備をして出発した。

あいにくの雨だったがこれも登山の醍醐味だと強がって歩く。
とりあえず何も考えずに淡々と歩く。
体力を奪う雨風をいまいましく思いながら皆でひたすら歩き続ける。
気分を紛らわすために口笛を吹いてみるが口が濡れて上手く吹けない。
なんどか試したが早々に諦めた。

明神、徳沢、横尾、本谷橋。。。 見慣れた景色を横目に淡々と歩き続けた。
そして昨年の目的地、涸沢(からさわ)カールに13時に到着。
予定より1時間遅れの到着だからまぁ許容範囲だろう。
朝から7時間も歩きっぱなしだったから空腹もピークに。休憩も兼ねて涸沢小屋で昼食をとることにした。
ここでのお昼ご飯は、きつねうどんとおやつに持参した魚肉ソーセージ。
ダシのきいた温かくて美味しいうどんだった。
うどん一杯が800円もしたが標高2245mを考えれば腹も立たない。
ここでのんびりしていると今回の目的地・穂高岳山荘に16時には着かないので
昼食を食べて早々に登りはじめた。



 
涸沢カールからの道のりはさらに困難を極めた。
降りつける雨にレインウェアはただの薄っぺらな生地でしかなく、
インナーのカットソーまでじっとり浸水してくる。
ハットも雨をしのぐにはあまりにお粗末でいつも頭が濡れている状態だ。
それでも濡れた岩肌を慎重に登っていっぽいっぽ歩を進める。


ガラ場が大半のこのコースは足首への負担が大きい。
手を使わないと登れない岩場もあって体力は確実に落ちていく。
涸沢カールから上へはみんな初めてのコースだったので慎重だったのだろう、
そしていつしか会話もなくなった…。

1日で穂高岳山荘まで登る計画を立てた自分を恨んだがいまさら引き返せない。
前へ。という気持ちと意地だけが頼りだったと思う。
みんなも同じ気持ちだったのだろう、誰も文句を言わずにただ前へ進む姿がせめてもの救いだった。
涸沢カールを出発して約3時間後、ついに穂高岳山荘に到着。時計は16時を少し回っていた。

山小屋は基本的に予約を受け付けない。
山の天候次第で急遽小屋に駆け込んだり、泊まらずに先を急いだり…。
どんな状況でも登山客を受け入れる優しいシステムになっている。
そのかわり寝床は男女相部屋で上下の2段ベッドだったり簡素な造りの小屋が多い。
今回はちょっぴり奮発して個室を希望。
さいわいこの日はそれほど混雑していなくて(といっても100人はいたらしいが)
1部屋6畳の空き部屋に案内された。
オトコ4人で寝るには十分の広さ。相部屋を想像するとまさに天国だ。
気心が知れている仲間だから今夜はみんなぐっすり寝れるだろう。

乾燥室に濡れたブーツとウェアを干した後、5時半からの夕飯を食べに食堂へ向かった。
食事を終えて部屋にもどる途中に、受付のサーファー風(に見えた)お姉さんに
明日の天気を聞いてみる。
`雨は降らないが一日中曇りですね`
どうやら明日の日の出は拝めそうにないらしい。 ツイてないと思った。  
                                                  つづく…
 
 
登山部、今回の目的地は北アルプスの奥穂高岳
長野県と岐阜県の県境にある穂高連峰に位置する日本で3番目に高い山。
今回、参加したのは昨年に続きカメラマンの丸谷嘉長氏とカメラマン助手の小松顕一郎氏、
ライターの唐澤和也氏と自分の4人。
 

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